−−ルミナスはどのような考え方に基づいて作られたのでしょうか。
【山下】基本となるのは「バイオフィリア」という概念です。1984年にハーバード大学の生物学者、エドワード・ウィルソンが提唱したもので、太古の昔から人間は多様な自然環境や気候に触れ合うことを通して、心身の健康を促進し養ってきたという説に基づいています。
人間は自然の中に生き、無意識に自然と強いつながりを持ちます。だから、人間は自然の中にいる時にリラックスする。しかし、都市部に住む現代人はコンクリートなど無機質的なものに囲まれ、普段から心理的な負荷がかかっている。そうした心理的負担、つまりストレスや不安を軽減させるには、継続的に自然との接触を保っていなければならない、とウィルソンは説きました。
この考えによって生まれたのが、「バイオフィリックデザイン」です。建築物に自然とのつながりをもたらす要素、自然光や自然の景観、天然素材などを取り入れているので、人間の健康や幸福感を助長し、ストレスの緩和や業務の生産性、創造性を向上させる効果があると期待されています。
−−大規模な大学病院、中規模な市中の民間病院、クリニックや動物病院といった小規模医療施設と様々な医療機関で導入されています。それぞれどのような経緯で納入に至るのでしょうか。
【山下】当初は様々な学会の展示に参加し、デモンストレーション機器を出品しました。それを見て興味を持たれた医師や放射線技師の方が接触してきました。逆に、名刺交換した方にこちらからアプローチすることもありました。
国立大学病院は、放射線技師の横のつながりで放射線科に導入される場合が多いですね。また、施工された病院の先例を見て、問い合わせしてくることもあります。
クリニックや民間病院では、改修や移転の際にトップダウンで導入されます。理由としては競合病院との差別化、地域連携している病院の場合は地域への還元です。来院する患者さんのストレスを軽減することを目的として導入しています。