日医工ジャーナル ダイジェスト
Vol.44 No.401 2017.7-9 ダイジェスト
インタビュー単回使用医療機器(SUD)再製造制度が7月31日に施行
柳沼 宏氏厚生労働省 医薬・生活衛生局
医療機器審査管理課
再生医療等製品審査管理室 室長
雪田 嘉穂氏厚生労働省 医薬・生活衛生局
医療機器審査管理課 認証係長
使用済みSUDの院内滅菌による「再使用」は、不完全な洗浄・滅菌による感染、医療機器の性能・安全性を十分に保証できないなど、さまざまなリスクから行わないことが世界共通の認識となっています。
その一方で、使用済みSUDを収集し、専門事業者が分解、洗浄、再組み立て、滅菌等の処理を行い、必要な性能等を有することを確認し、再び使用可能にする「再製造」は、資源の有効活用や医療廃棄物の削減、医療費の低減の可能性などから注目されています。海外に目を向けると、米国は2000年、ドイツは2002年から再製造を認めました。また、英国やEU(欧州連合)もSUD再製造に係る規制枠組みの整備を進めています。
こうした背景から2015年度、厚生労働省では「単回使用医療機器(SUD)の再製造に関する研究」を目的とした研究班を設けました。研究内容は、①海外の規制実態等の調査(米国、ドイツ、英国等)、②SUD再製造品に関する国内ニーズ調査、③SUD再製造ガイダンス案の検討などです。
その研究結果が、厚生労働科学特別研究事業「単回使用医療機器(SUD)の再製造に関する研究 総括研究報告書」(平成27年度、平成28年度)という形で報告されました。
アカデミア浜松医科大学と静岡大学が共同で
光医工学共同専攻を開設
山本 清二氏浜松医科大学 理事・副学長
浜松医科大学の光尖端医学教育研究センター、静岡大学浜松キャンパスにある電子工学研究所が中心となって大学院共同教育課程(博士課程)光医工学共同専攻を開設する。この専攻は後期3年の博士課程で2018年4月に開始される予定。この研究により光技術を基盤とした医工連携分野に精通する高度専門人材の育成を行う。大学や企業の研究室に優れた人材を送り込むことを目的とし、光医工学の教育さらには医療産業の充実を目指している。
浜松市は2013年に「浜松光宣言」を発表。浜松市を光の尖端都市にしようとするもので、浜松医科大学、静岡大学、光産業創成大学院大学、浜松ホトニクス株式会社が調印した。21世紀を「光の時代」とし、光科学の発展や光産業の拡大、光の重要な役割と無限の可能性を謳っている。今回の専攻課程の開設は、浜松光宣言を発表した浜松市も大きく後押しした。
この専攻の教育課程の編成、実施は両大学が共同して行い、専任教員は15名、授与される学位は「博士(光医工学)」。学生定員は浜松医科大学3名、静岡大学5名の予定で狭き門となる。入学者の選抜方法については2017年の9月以降に発表される。
この専攻は、浜松医科大学の「光技術を応用した医学研究」と静岡大学の「光・電子工学の先端研究」という2大学の強みを融合したもので、それぞれの研究の環境・実績などを活かし、学生、教員、研究のレベルで教育課程を展開する。
医工連携「医療用機能・要素部品パビリオン」 が
パシフィコ横浜で開催
去る6月29日(木)から7月1日(土)の3日間、パシフィコ横浜・展示ホールAで「メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2017(第92回日本医療機器学会大会併設機器展示会)」が開催された。今回も展示会場の特設エリアにおいて、日医工と㈱インテリジェント・コスモス研究機構(ICR)の共催による「医療用機能・要素部品パビリオン」が併設され、35社のものづくり企業がブースを構えた。同パビリオンの開催は今回で7回目を迎えた。
今回参加したものづくり企業の分野別内訳は、手術室・ICU関連3社、機械装置3社、金属加工9社、受託製造4社、受託開発1社、センサー・計測器3社、表面処理3社、プレス加工1社、ソフトウェア開発3社、その他5社。今回は新たに手術・ICU関連という医療機器業界に近い企業が3社参加したことが特筆できる。
県別内訳としては、青森5社、秋田2社、岩手3社、宮城7社、山形5社、群馬5社、新潟4社、静岡4社となった。企業数で最も多かったのは宮城。
パビリオンの来場者数(延べ人数)は3,189人で、メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2017の来場者数(同)5,946人のうちの53.6%がパビリオンに来場した。職種別内訳は医師・薬剤師152人、看護師457人、技師304人、メーカー・ディーラー・一般2,276人となった。
特別講演SUD(単回使用医療機器) の再製造について
武藤 正樹氏国際医療福祉大学大学院 教授
医療経営管理分野責任者
SUD(単回使用医療機器)の再製造に関して、2017年7月31日に制度が施行された。
SUDの製造販売については厚生労働省の行政通知により、次の基準が示されている。①単回使用の医療用具については『再使用禁止』と記載するとともに『禁忌・禁止』の項にも記載すること(2001年12月14日医薬局安全対策課長通知)、②ペースメーカーや人工弁等の埋め込み型の医療材料については医療安全や感染の防止を担保する観点から、性能や安全性を十分に保証し得ない場合は再使用しない等、医療機関として十分注意すること(2004年2月9日付医政局長通知)。
しかし、医療界ではSUDの“再利用”が広く行われているのが実情である。SUDを院内滅菌する、滅菌代行会社に滅菌を依頼して再使用するといったことがかなり蔓延している。これに対して厚生労働省は再々注意喚起を行ってきた。
事例の1つとして挙げられるのは、2015年7月、神戸大学病院においてSUDの神経生理電極(EP)カテーテルを院内滅菌の上、約300人の患者に再使用した可能性があるという報告である。このカテーテルは1本20万円で、不整脈のアブレーション治療で1回4~5本使用する。価格を考え、複数回使用することを考えたのであろう。
全国国立大学医学部附属病院材料部長会議がSUDに再利用についての全国施設調査を行った。それによると、2007年の時点ではほとんどの施設がSUDを再利用すると答えている。2013年になると再利用するという回答は少なくなり、再利用しないという回答が増えてきた。しかしながら、現在でも再利用している施設はまだまだ多い。
同じ調査で「法的整備を望むか?」と聞いたところ、「望む」が80%、「望まない」が15%と希望する施設が大多数におよんでいることがわかった。
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