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日医工ジャーナル ダイジェスト

Vol.39 No.385 2013.5-6 ダイジェスト

対談医療機器業界の現状とこれから

中尾 浩治 氏日本医療機器産業連合会 会長
松本 謙一 氏一般社団法人 日本医療機器工業会 理事長

【中尾】承認審査期間についてはPMDAの努力もあって、以前より改善されたと思います。しかし、もっと短縮する方向を促進しなければなりません。このことはPMDAとも確認しており、さらに審査の人員、質、量を拡充する方向です。しかし、PMDAの審査員の方々が医療機器を勉強する、理解するといったことについては、我々業界の人間が協力していかなければならないでしょう。本を読めばわかるという単純な話ではありませんので、日本医療機器工業会や日本医療器材工業会などの会員企業とPMDAの審査員とがともに学ぶ場を作りたいと考えています。PMDAに対しては、業界としてぜひ協力させてくれと、そうすることが双方にとってプラスになると述べたところです。逆にPMDA側からは、申請内容に不備が認められることがあるとの指摘を受けました。業界団体としても薬事申請についてさらに勉強しなければならないと思います。
【松本】現在の審査承認の問題については、人数だけでなく、ゼロリスクを求める日本人の特性を考えなければならないでしょう。日本人は、自己責任を回避する傾向がたいへん強い。医療過誤の8割はヒューマンエラーといわれていますので、医療機器を使用する側の状況も考えて判断することが求められているのではないでしょうか。
医療事故にはいろいろなパターンがあり、メーカー側の原因によるもの、ユーザー側の原因によるもの、さらに使用している患者さん側に原因があったりもします。そうした状況を踏まえて、医療事故については行政、メーカー、ユーザー、患者と4者で責任を分担するような考え方を検討する必要もあると思います。そうした考え方を導入すれば、審査承認の迅速化も少なからず実現するのではないでしょうか。審査承認が長期化することの根本は、単に知識や人数によるものではなく、日本人の特性も大きく関わっていると考えます。

海外展開医療機器と病院機能を一体的に展開するMEJの役割

2011年、経済産業省の支援でMEJが発足した時には、海外の患者さんの受け入れ、つまりインバウンドを支援するという目的でスタートしている。海外の患者さんを受け入れてくれる大きな病院との連携を図りながら、徐々に会員病院数を増やし、業界団体として自立できる形になっ てきた。今後は、これまでのインバウンドの取り組みに加え、政府全体として医療技術・サービスの海外展開(アウトバウンド)のために連携強化を行っていく予定だ。
 世界の医療ツーリズムの現状をみてみると、米国の国際的な病院品質の認証であるJCI(Joint Commission International)を取得している病院への渡航が多く、日本においてもこの認証を取得しようとする病院が増えてきた。日本で最も早かったのが千葉県の亀田総合病院で2009年にJCIを取得している。現在、日本でJCIを取得しているのは6施設。海外の患者さんの受け入れ体制が十分整っているということで、インバウンドはもちろんアウトバウンドにおいてもそうした施設と連携を取っていきたいと考えている。

企画展示メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2013
医療用機能・要素部品パビリオンを振り返って

2013年6月6日(木)から3日間、パシフィコ横浜展示ホールDにおいて、メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2013が行われた。展示会場の一角では3年連続して「医療用機能・要素部品パビリオン」が開催され、最新の機械部品や材料、受託開発などで来場者の注目を浴びた。
主催のインテリジェント・コスモス研究機構の代表取締役副社長の斎藤孝志氏より冒頭の挨拶、つづいて日本医療機器工業会の植竹副理事長、東北経済産業局経済部地域経済部部長の滝本浩司氏から開催についての抱負が述べられた。開催宣言が告げられ、前述の3氏に静岡県経済産業部商工業局新産業集積課長の梅藤久人氏、青森県商工労働部新産業創造課医療・健康福祉産業グループ総括主幹の村下公一氏が加わり、5名でテープカットが行われた。

医療クラスター地元企業の活性化を図る大田区の医工連携事業の実績

氏家 弘 氏 独立行政法人労働者健康福祉機構
東京労災病院 脳神経外科部長
伊藤 博巳 氏公益財団法人 大田区産業振興協会
専務理事 医工連携支援室長

【氏家】一般企業の人達と話をする時には、医療機器市場の性格から説明します。医療機器は必要なものはほとんど出揃っているということ、市場に出すに当たっては価格を下げるか、改良型の医療機器を提供しなければならないこと。もう一つは今までにない新しい医療機器、さらに人工臓器を提供できるか、ということです。こうした市場のニーズを知ることが最も重要でしょう。
 これらを確認した上で話を進めていくのですが、内容が具体的な段階に入ってくると否定的な意見が出てきます。若い社員は将来のことを考え、今多少わからなくても勉強して医療現場を理解したいという姿勢を示しますが、年配者の多い経営者クラスの会議などでは否決されてしまいます。最初の2年間でそれがよくわかりました。一般企業は、提案されている医療機器の開発が正しいのか、最後までたどり着くのか、自信が持てないのです。
【伊東】医療機器メーカーさんには小さな企業が持っている高い技術をもっと知って欲しいし、使って欲しい。電気、自動車、航空機分野の企業の方々は、その辺のことをよくご存じです。人工衛星の打ち上げに中小企業の職人の技を使うという発想を、医療機器の企業の方々にも持っていただきたいと思っています。