−−−在宅医療現場での医療機器の使用状況を教えてください。
多く使用されるのは、在宅酸素療法で使う酸素濃縮装置、人工呼吸器、気道内分泌物吸引装置などです。特に、吸引装置はがんの末期、肺炎、高齢の方が多いので使用頻度が高いですね。吸引器にはその都度使用する型と、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や脳性麻痺等の患者さんのせき込み、誤嚥などに対応する持続吸引型があります。
輸液ポンプは主に末期がんの患者さんなどが食事を摂れない場合、中心皮下静脈栄養で持続的に使用します。また、CADD(computer-aided design and drafting:携帯型精密輸液)ポンプは薬剤の持続投与に使用されますが、ボタン1つで薬剤が追加投与できるので一時的な疼痛治療にも使用可能です。他に、ALSのように意思疎通が難しい患者さんのための環境制御装置、視線で文字入力を行う装置、痰が出しにくい場合に補助するカフアシストなどが使われます。
−−−常に在庫は置いてあるのでしょうか。
使用することが多い輸液ポンプやCADDポンプ、酸素濃縮装置、吸引器などは常に置いています。レンタルする場合は、業者からのレンタルと医療機関で貸し出す場合があります。身体障害者が気管内吸引装置を恒常的に使用する場合は自治体から補助金が支給されますので、それで購入していただく形になります。
−−−どのような患者さんに医療機器を使用しますか?
末期がん、老衰、認知症、原因不明の難病など患者さんは様々ですが、やはり使用頻度が高いのは脳性麻痺やALS、筋ジストロフィーなど寝たきりの患者さんになります。慢性疾患や先天性疾患の患者さんは10年、20年と長期間使用するケースが多いですね。
−−−ここ数年、国は在宅医療を普及、推進する方向にありますが、使用している医療機器に変化は感じますか?
疼痛治療などで使われる医療用マイクロポンプはここ20年で大きく変わりましたし、酸素療法も操作性が随分良くなりました。ここ数年はコロナ禍でもあり、モニタリング機能やオンライン診療等のICTによる情報共有が進んでいます。また、国の方針で診療報酬や補助金等の制度が変わりましたので、医療機器も使用しやすくなったと思います。