−−−デジタルヘルスを推進するには、デジタルヘルスの技術がどのような形で保険償還されるかが重要なポイントになります。しかし、様々な課題があり、承認されるのはなかなか難しいと聞いています。具体的にどのようなことが課題になっているのか教えてください。
【園生】デジタルヘルスはこれまでにない全くの新しい技術です。類似品や先行品がほとんどないため、いわゆる「ストラクチャー評価」を行うにしてもどのくらいの金額が妥当なのか基準がありません。これが一番の障害でしょう。ただし、特定の疾患で「アウトカム評価」が得られるのであればそれに応じた金銭的評価をすべきですから、適正価格が定まってくるのではないかと思います。しかし、現在、薬機法で承認されているAI医療機器などは2、3品しかないので、それを定めるのも難しいですね。
何よりも、類似品、先行品がほとんどない、事例がないというのが最も大きな障害です。
−−−デジタルヘルスの価値、また保険償還についてのハードルをどのようにお考えでしょうか。
【園生】デジタルヘルスツールの中には、情報交換のツールとしての価値は認められていますが、診断支援や治療支援を目的として承認されていないものもあります。これまで医薬品も医療機器も保険償還の対象とするのは、あくまでも治療効果という視点でしか議論されてきませんでした。プログラム医療機器の場合には、直接的な治療効果という観点だけでなく、情報連携効率の向上も価値として認められる必要があります。
そもそも日本の診療報酬制度そのものがデジタルヘルスにそぐわない部分があります。日本の診療報酬制度はあくまでも、医師をはじめとする医療従事者等が診断や治療に何らかの医療機器を用いることに対して診療報酬付与がされるというスキームとなっています。