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関野 秀人 氏厚生労働省医政局経済課 医療機器政策室長
これからの医療産業を盛り立てていくには、具体的に優れた製品が必要であることは言うまでもありません。海外に向けて競争力のある製品を作るための研究や機器を製品化するための開発支援のための予算措置としては臨床研究中核病院の整備を含めており、薬事承認制度や保険制度上の対策をあわせ行うことにより、研究開発から薬事承認や保険導入に至るまでのすべてのプロセスにおいて厚生労働省としてしっかり施策を具体化していきたいと考えています。 また、医療クラスターの拠点整備においても経済産業省や内閣府医療イノベーション推進室などとともに検討しています。医療機器の研究開発に必要な人材や体制は医療機器の種類、当該機器を使う診療科によって異なりますので、拠点と言っても1カ所ではなく、全国いろいろな地域が有力な拠点と成る可能性があり、ある意味日本全体を拠点と捉えることもできます。つまり、循環器内科、循環器外科、整形外科、脳神経外科、眼科などの診療領域ごとに研究開発の中心となる人材、技術、投資などが集まる所が拠点になるというイメージです。こうしたイメージをもとに、今年度から次年度にかけて検討を重ねて、その後、体制の組み立てや予算措置など関係府省がオールジャパンの体制整備に向けて臨むことになります。
覚道 崇文 氏経済産業省 商務情報政策局医療・福祉機器産業室長植竹 強 氏一般社団法人日本医療機器工業会副理事長
【植竹】経済産業省の中に医療・福祉機器産業室が設置された当初は、何とも不思議な感じがしたことを覚えています。それまでは厚生行政に関しての監督官庁は厚生労働省でしたから、私たちはすべてそちらに向いて何でも相談事をしていたわけで、経済産業省の医療・福祉機器産業室にはどのように話を持って行けばよいのか戸惑いました。しかし思い返せば、以前厚生労働省の経済課長と医療界の産業育成の話をしたときに、課長が雑談の中で経済産業省と一緒に歩むことになるのではないですかと言われたことがあるのです。その話を聞いた時には、実現すれば日医工としても経済活動面で方向転換を図る良いきっかけになると思いました。医療・福祉機器産業室には、2007年から始まった医療イノベーション戦略における医療機器産業の構造変革に大きな期待がかかっているのではないでしょうか。私たち業界団体としてもそうした動きに協力していきたいのですが、まずは医療機器産業の現状についてどのようにお考えかお聞かせください。【覚道】経済産業省の中に医療・福祉機器産業室ができたのは医療機器の研究開発支援が主要な目的でした。医療を産業と捉え、そこにイノベーションを起こして将来日本を支える重要な柱にすることが目標です。医療産業は複雑な独特の産業構造を持っていますが、イノベーション実現のために変えられる部分はうまく変えていきたいと思っています。もちろん医療の枠組みはそんなに大きく変えることはできません。しかし、できるだけイノベーションを起こしやすい環境を作っていきたいと考えています。
黒沢 康雄 氏一般財団法人 流通システム開発センター研究開発部 国際部
世界のヘルスケア業界でこの2、3年注目すべきことは、欧米規制当局が医療機器に対して製品識別の標準化、バーコード表示、データベース登録、追跡管理の義務化を推進していることである。以下、国際会議に出張し見聞した世界の規制当局の義務化動向を報告する。 医療機器は世界各地の工場で製造され、流通され、販売され、世界の病院で患者(利用者)に使用されるグローバルな商品となっている。その国ごとのバラバラな規制はメーカーとしての製造や流通や販売を分断させ、またその国の卸売業の流通行為を混乱させ、さらに個々の病院での製品の使用、運用を制限させてしまう。これは、メーカー・卸売業・医療機関にとって大変な不都合であり不合理であり、また社会全体的に極めて不経済である。 したがって1つの国を超えたレベルで医薬品や医療機器に対して世界で共通、かつ標準化された仕様や製品表示ルールが求められる状況にある。これは第三者からみても理解できることであろう。各国の規制当局は医療現場での事故の削減、不良医療機器の回収と代替製品の補充、損害賠償に対する負担軽減等、さまざまな市場要請に答えるために、第一義に製品識別の標準化、バーコード表示、データベース登録、そして追跡管理の規制化を進めている。
【増田】弊社が関わっている設備領域は、病院建設の機会がないと仕事が発生しづらい。中長期で見ると市場が拡大していくわけでもない。今日参加の皆さんのように仕事も常時発生しませんので、国内戦略としては市場の占有化と既存顧客のメンテナンスや改修が重要な鍵になります。海外戦略は益々重要になってきており、今般さらなる展開のために韓国工場をリニューアルしました。【司会】先日、厚生労働省の医政局経済課の医療機器政策室で取材してきたのですが、ここ数年の間に医療を産業マーケットとして位置づけるようになったという話を聞きました。【根本】ちょっと遅いなという印象ですね。製造業にしても海外に工場を移転してしまって、産業の空洞化が起こっている。保険制度にしても財源が乏しくなっており、日本の医療機器産業の未来を明るく描くことは難しいと思います。日本の医療機器産業の状況は一民間企業で対応するレベルではなくなってきているでしょう。現在、治療系医療機器はその多くを外資系企業に占められています。企業規模が違いますし、彼らのマーケットとしての視点はグローバルです。日本市場の限界は認識していますが、海外進出については力のある企業が舵取りを行っていくという流れになるのではないでしょうか。 【松原】根本さんがおっしゃっていた日本における治療機器市場の現状は、薬事審査手数料の高額化や審査期間の長期化も原因になっていると思います。高付加価値を持つ医療機器の輸出は円高の影響もあってたいへん厳しい状況にあります。世界シェアでトップを占める国内医療機器企業や世界に誇れる優れた技術を持つ企業の方々と、海外情報について共有できる場があればと思います。また、政府が掲げている医療産業における成長戦略について、私たち業界の人間と意思疎通ができる場が欲しいと考えています。
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