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日医工ジャーナル ダイジェスト

Vol.44 No.402 2017.10-2018.1 ダイジェスト

インタビュー大学やメーカーとの連携で実践的なICT、医療機器開発目指す湘南慶育病院

松本 純夫氏湘南慶育病院 病院長

 医療法人社団健育会は現在、主に東日本を中心に9病院、2クリニック、13介護施設、47介護事業所を有する医療法人グループです。同グループを運営母体として設立された湘南慶育病院は、これまで同グループが培ってきたリハビリテーションの経験や2次救急の経験を存分に生かすことを目的に設立されました。
 私は内視鏡手術が専門で27年前から内視鏡の機器開発に関わってきました。内視鏡については当時、日本の市場はほぼアメリカの医療機器メーカーの独占状態でした。しかし、日本人には日本人に適した内視鏡手術法があり、国内の内視鏡専門医はそれに合った内視鏡の必要性を海外メーカーに訴え、機器開発を打診しました。ところが、海外メーカーは一部の機器を除いてほとんど取り合ってくれず、われわれ日本人は無力感にとらわれていました。
 そうした折りに国内のある医療機器メーカーが「一緒にいい内視鏡手術機器を作りませんか」と提案してきたことから状況が変わり始めました。私を含めた内視鏡専門医たちはこの企業と共同で、日本人に適した内視鏡手術と機器に関する研究開発を行い、結果、海外メーカーに伍することができるような内視鏡手術機器を誕生させることができました。こうした経験を経て、私は医療機器開発に打ち込むようになりました。こうした経験が私の医療機器に対する取り組みの基礎を成しています。

委員会活動倫理委員会が2017年12月に発足
遵法精神と事業活動の倫理観を啓発

追杉 均氏倫理委員会 委員長

 今回、倫理委員会が発足された背景には、医機連の企業倫理委員会との活動の連携がある。昨今、大企業においてもさまざまな不祥事が取り沙汰されているが、企業倫理やコンプライアンスを疎かにすると、企業そのものが危機に直面することになりかねない。医療機器業界においても同様で、日医工としては「会員企業の医療機器業界における社会的責任の意識高揚を、会員企業に浸透させる必要がある」こと、さらに「会員企業の倫理、コンプライアンス、プロモーションコード、公正競争規約などの遵守に関して周知を行う必要がある」ことから、専門委員会の設置を決定した。
 日医工倫理委員会のミッションは、「会員企業が高い『遵法精神』と『倫理観』を持って事業活動を行うため」ならびに「不祥事の未然防止」を目的として、4つの自主ルール・関連ガイドライン、国内外の法令・業界ルール等の遵守に向けた啓発活動を行うことにある。
 倫理委員会のメンバーは、全員、公取協支部運営委員会の委員が兼任する。しかし、公取協支部運営委員会は医療機器業公正取引協議会の支部組織であり、倫理委員会は医機連の企業倫理委員会と連動して活動する組織であるため、それぞれ別個の委員会活動を行うことになる。私が倫理委員会の委員長に就任したのは、10年以上企業のコンプライアンス部門の責任者をしていること、7年に亘り医療機器業公正取引協議会の委員をしていること、昨年から医機連の企業倫理委員会に参加していたこと等の背景があると推察している。

講習会ISO13485:2016及び改正QMS省令のための講習会

 日医工主催の「ISO13485:2016及び改正QMS省令のための講習会」が2017年12月14日、千代田区神田駿河台の全電通ホールで開催された。
 2014年11月にISO13485:2003に整合化された新たなQMS省令が施行されたが、2016年3月1日のISO13485:2016の発効に伴い、現行のQMS省令を2016年版のISOに整合化させるための再改正が予定されている。現在の計画では、今年5月以降に改正QMS省令が施行され、移行のために3年程度の経過措置が設けられる方針も示されている。
 今回の改正は、リスクに基づくアプローチ、QMSで使用するソフトウェアのバリデーション、統計的手法に基づくサンプルサイズの決定等をはじめとして、要求内容の上乗せや変更が生じる部分が多岐に亘るため、クラスⅡ以上の医療機器を取り扱う会員各社は、その対応に多くの時間や労力が必要になることが予想される。
 講習会では、「ISO13485:2016の追加要求事項」について法規関連委員会の塩田恭久委員が説明を行い、また、「ISO13485:2016への対応事例」として手術用メス委員会の小原良宣主査が、「新規電気メスの開発」の仮想事例をもとに顧客関連のプロセスと設計・開発における対応方法を説明した。

賀詞交歓会平成30年新春賀詞交歓会、経団連会館で開催
〜政界、関係省庁の方々から本年度の指針、抱負、展望が語られる〜

 去る1月12日、経団連会館・ダイヤモンドルームにおいて、日本医療機器工業会の平成30年新春賀詞交歓会が盛大に開催された。
 冒頭、松本謙一理事長が挨拶を行った。理事長は、今年施行される診療報酬と介護報酬のダブル改定については、「方法論」と「方向性」の2つに識別して対応すべきであると述べた。方法論としては、バリューに対するコストあるいは費用対効果という側面からはある程度理解せざるを得ない部分があり、医療機器もイノベーションで足し算ばかりでなく引き算も考え、バランスを取って考えることが賢明だとした。
 一方、AIやロボットなどのキーワードについてマスコミ等で日々、目に入ってくるが、これに対してむやみに騒いでいても仕方ない。各企業、自助努力し、いかに自社のプラスになるかを考えることが大切だと思う。日医工は情報共有化や方向性などでサポートしていきたいと語った。
 自由民主党の鴨下一郎衆議院議員は、自身と次に挨拶する上川陽子衆議院議員がともに医療機器の議員連盟に参加していることを述べた上で、今年は医療機器業界にとって診療報酬改定等があり非常に重要な時期であるので、これから箇所付け(予算配分)が行われていく中で、業界として予算が必要な部分について意見をいただければ一生懸命サポートしたいとし、ぜひとも世界を引っ張っていくような素晴らしい企業がどんどん出てきて、世界でプレイヤーとして頑張ってくれる方々が育っていくことを望んでいると語った。
 自由民主党衆議院議員の上川陽子法務大臣は、医療機器の成長産業としての発展を一途に望みながら、法律の改正等について頑張ってきたとし、さまざまな産業技術は法律に基づいて安全管理等を行っていくことが、なによりも大事であると述べた。また法務大臣の立場から、矯正医療分野において高齢の受刑者の数が増えている現状を踏まえ、こうした分野における医療の質向上にも医療機器メーカーならびに業界団体の活動が重要であることを述べ、関係省庁と密な連携を行って、よりよい医療機器を開発してもらいたいと語った。