日医工ジャーナル ダイジェスト
Vol.50 No.428 2024.4-6 ダイジェスト
第二弾:医療機器業公正取引協議会における医療機関への取り組み
医療機器購入に関する医療機関のコンプライアンスを
どう考えるか(前編)
吉田 靖 氏 日本臨床工学技士会 常任理事/滋慶医療科学大学 医療科学部 臨床工学科 教授
矢ケ崎 昌史 氏 日本臨床工学技士会 常任理事/相澤病院 QI室
関尾 順市 氏 医療機器業公正取引協議会 専務理事
津藤 保 氏 医療機器業公正取引協議会 事務局長
−−医療機関側において資材購入の際、コンプライアンスに関する院内規定はあるのでしょうか?
【矢ケ崎】当院では臨床倫理規定はありますが、資材購入においてそうした院内規定はありません。
【吉田】大阪大学の場合、公的研究費、兼業、機密情報、個人情報などについてはコンプライアンスに関する研修を年1回、受講しなければなりません。しかし、医療機器の選定・購入に関するコンプライアンスや倫理規定についての研修はありません。この座談会に出席するにあたって再度確認しましたが、行われていませんでした。
逆に、公取協さんから関連資料を提供していただければ、その資料による研修の実施が可能だと思います。医療機器の購入に関わる病院職員は一部です。しかし、そういう人達に向けてこそ研修は行われるべきでしょう。
【矢ケ崎】その通りだと思います。これまでに私自身そうしたことを学ぶ機会がありませんでしたし、教育しなければならないという考えもありませんでした。研修の機会を設けることができるならば、実施すべきだと思います。ただ、研修を実施する際の参加方法や対象者などに対しての工夫は必要だと考えます。
スタートアップW杯優勝のアイリスにAI医療機器の将来展望を聞く
沖山 翔 氏 アイリス株式会社 代表取締役/医師
高橋 渉 氏 アイリス株式会社 ソフトウェア&AI開発部 知的財産担当
前田 祐二郎 氏 アイリス株式会社 リサーチ&コラボレーション部/歯科医師・医学博士
−−日本企業の優勝は快挙ですが、参加された理由、プレゼンテーションの様子などを教えてください。
【沖山】参加した最も大きな理由は、弊社を世界に認知してもらいたかったということです。審査員は医学・医療関係者ではないので、一般の方にも理解できるような内容で説明することに腐心しました。また、医療機器は安心安全が厳しく求められるので、薬機法で規制されていることをベースにプレゼンの内容を考えました。東京予選では持ち時間が3分しかなかったので、AIを活用した医療機器程度で時間切れとなってしまいました。
−−東京予選は1位で通過しましたね。優勝の要因は何だったとお考えですか。
【沖山】世界で唯一の仕事をしているアイリスの存在意義が、皆さんに伝わったのだと思います。そうした独自性は審査基準の1つになっています。
東京大会と世界大会とではプレゼンの内容を変えました。世界大会では、日本はアジアの小国に過ぎません。また、今すでに承認が取れている部分(インフルエンザ)の話だけでは話題が小さい。だから、現在進行系の研究開発や、「感染症のAI」にまで広げられる技術であることを強調しました。世界中でコロナ禍を経験した後だったので、感染症という言葉はインパクトがあったと思います。内容的には抗原検査やPCR検査と違ったこれまでにない新しい検査法であることをアピールしました。特に、今まで綿棒で鼻の粘膜を擦る検査一択だったわけですが、痛みの少ない新たな選択肢が増えたことを強調しています。そこが共感を得られたポイントと思います。
リクルート座談会
医療機器業界が優秀な人材を獲得するには?(後編)
和田 賢治 氏 一般社団法人 日本医療機器産業連合会 産業政策室 幹事/魅力発信部会 主査
株式会社 日立製作所 ヘルスケア事業本部 経営企画部 渉外担当 部長代理
相宮 直紀 氏 公益財団法人 医療機器センター 医機なび担当 主任
荒船 龍彦 氏 東京電機大学 理工学部 電子工学系 教授/博士(科学)
大西 信也 氏 ユフ精器 株式会社 総務部 人事課/経理課 マネージャー
佐久間 太郎 氏 第一医科 株式会社 管理支援本部 総務課
−−人材確保は一企業の問題ではないように感じます。「早期選考」の話が出ましたが、大学生の就活は現在どのような状況にあるのでしょうか。
【荒船】就活において「早期選考」に比重がかかるようになったのは、2年前からです。5年前にある大手通信企業がルールを破って年内採用を始めました。コロナ禍後、ルールは有名無実化して誰も守らなくなった。それから多くの企業が「早期選考」を行うようになりました。本学でもこうした状況の詳細については、就職担当教員しか把握できていません。就活の最前線にいないとアカデミアや企業でもこうした変化に気づかないと思います。
大学院に進む学生は非常に優秀で、最新のソフトウェアやAI、ロボット技術に対応することができます。しかし、医療機器業界を志望する人がほとんどいません。逆に言うと、医療機器業界はAIやロボット技術を扱える人材を本当に求めているのでしょうか。会社説明会で話を聞き、大学院で学んだ最新技術を活かせる仕事ではないようだと感じてしまったら、自分を最大限活かせる業界や会社に行くのは当然だと思います。学生は一所懸命になって技術を身に着けます。業界がそれを求めているのなら送り出したいのですが、そもそも医療機器業界が人材に対して何を求めているのかよく分かりません。
【和田】2023年、医機連は会員団体に「どのような人材が欲しいか」というアンケート調査を行いました。数百の企業から回答があり、3~4割がAI、IT、DXに詳しい人材が欲しいと答えています。しかし、そうした技術のどのレベルの人材を必要しているかは、アンケートから読み取ることはできません。ただ、回答したのはある程度の規模を持った企業がほとんどなので、開発を検討しているか、もしくは開発を進めていると思います。そうした企業では優秀な人材を欲しているでしょう。
令和6年度保険医療材料制度改革と日医工および業界団体の政策提言
日医工 医療保険委員会
島田 浩幸 氏
冨森 浩二 氏
西牟田 実代 氏
日医工 医療保険委員会では、医機連 機器保険委員会への参画を通じ、中央社会保険医療協議会(以下、中医協)の保険医療材料専門部会(以下、材料部会)に保険医療材料制度に関する政策提言を行っている。材料部会によって取りまとめられた案は、本年1月17日の中医協総会の承認を経て、3月5日以降厚生労働省の通知等として発出された。
今回の保険医療材料制度改革について、概要と業界見解について以下に示す。
《制度改革の主な内容》
Ⅰ.新規の機能区分等に係る事項
(1)イノベーションの評価
ア 使用実績を踏まえた再評価に係る申請(チャレンジ申請)
• 保険適用希望書の提出の際のみならず、保険適用時点から1年を超えない期間において、申請が行えることとする。
【業界の見解】
基本的な考え方としては業界提案が認められた形ではあるが、保険適用後、製造販売業者が試験計画の立案を行うために必要と想定される期間については、業界要望が3年であったのに対して1年となった。
• 技術料に包括して評価されている体外診断用医薬品についても、チャレンジ申請の対象とすることとする。
• 再評価の希望を取り下げる場合においても、それまでの臨床成績等について報告を求める等の対応を行うこととする。
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