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―このほど、第一医科株式会社から発光ダイオード(LED)を光源に使った耳検査機器のオトスコープ『LEDステラスコープ』が上市されました。この開発は平成24年度補正の「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援事業」(以下ものづくり補助金)に採択され、2社の中小企業の協力のもとに開発が進められたと伺っています。開発のきっかけはどのようなことだったのでしょうか。【稲垣】オトスコープは患者さんの耳の中を照明で照らしながら拡大視する医療機器です。横に開いた開口部からはメスを入れて鼓膜切開などの処置を行うこともできます。弊社では同じ機能を持つ輸入品のオトスコープを30年にわたり販売してきましたが、以前から品質のバラつきや電球の乱反射などの欠点が気になっていました。また、修理用の部品もいちいち海外の製造元から調達しなければなりません。30年以上同じ形でしたので、もっとデザイン性が高くかつ軽量の製品を開発したいとも考えていました。近年は、耳鼻咽喉科の医師から「LEDがこれほど普及しているのに照明をLEDにできないのか」という指摘を多く受けるようになったこともあり、自社製品としてオトスコープを開発することにしたのです。―30年以上のロングセラーということは、それだけ医療現場のニーズが高かったのですね。【【小池】耳鼻咽喉科における検査や治療には欠かせない医療機器です。ところが今稲垣が申した通り、機能、重量、照明、デザインのいずれもが30年来のままで現在の耳検査のニーズにそぐわなくなってきました。何より、先ほどの先生方の指摘は耳が痛かったですね。そこで開発を決意したのですが、当初からこの製品の開発には異業種のものづくり企業さんと協働で進めていこうと考えていました。以前からお付き合いのあった山形県産業技術振興機構の産学官連携コーディネーターの江口さんに相談させていただき、「ものづくり補助金」の申請から採択、パートナーとなる企業さんとのマッチング、そして上市までお世話になったのです。ボディーはアルミ製で、電池を含む重量が127gと軽量、丈夫で取り扱いやすいデザインとなりました。オプションのアダプタを使用することにより、スマートフォンなどで録画や再生が簡単にできます。いろいろと新しい機能を持つ製品を上市することができました。
山田 隆司公益社団法人 地域医療振興協会台東区立大東病院 管理者長
-平成26年度の診療報酬改定において在宅医療の充実が重点課題となり、在宅療養に加算が行われました。しかし、在宅医療を支える病診連携や診診連携については課題が多いといわれています。開業医の中でも患者のQOLを第一に考える「家庭医(総合診療医)」は、在宅医療に最も近い存在だと思われます。山田先生には在宅医療における家庭医の役割をお聞きしたいと思います。【山田】私は自治医科大学を卒業後、岐阜県久瀬村(現・揖斐川町)の診療所に赴任しました。人口2000人ほどの村で、ただ1人の医師です。私は最初から家庭医を意識した訳ではありません。1人しかいないので目に異物が刺さった、耳に虫が入った、風邪、高血圧、神経痛、水虫までなんでも診なければならない。医学生のころは難易度の高い治療技術、先進的な検査手技の習得などが医師としての質の高さだと思っていましたが、診療所で毎日患者さんと接するうちに、そうした考えはどんどん消え去っていきました。 久瀬村の地域医療を20年間担当してきて、地域医療で最も大切なのは患者さんとの関係性だということを痛感しました。通常、患者は医師を病気やけがを治す医療サービスの提供者としか見ないし、医師は患者を病気やけがを治す対象としか見ていません。しかし、同じ生活者同士としての交流があると、互いに相手の人柄や家族、家庭環境なども知ることになるわけですから、節度のある付き合い方になります。患者さん側は医師をサービス提供者ではなく隣人として接するようになる。それが家庭医のあるべき姿だと思いますね。
公益財団法人 医療機器センターは平成27年2月16~19日、東京・築地の浜離宮朝日ホールで「平成26年度医療機器薬事申請・治験計画作成者養成プログラム【初級コース】【上級コース】」を開催した。厚生労働省は、平成20年に医療機器の審査・相談体制の拡充をはじめとする「医療機器の審査迅速化アクションプログラム」を策定。PMDAの増員などにより、かねてからデバイス・ラグ解消に向けての取り組みを実践してきた。 今回の養成プログラムはその一環で、医療機器センターが厚生労働省の委託を受け「医療機器薬事申請・治験計画作成者養成プログラム作成モデル事業」として行った。この事業は「医療機器の上市にあたって必要な行政手続きとなる承認申請や臨床試験(ヒトを対象として有効性、安全性等を検証する試験)の設計を的確に行うための教育研修プログラム」として平成24年度から実施されており、今回で3回目となる。無料であることから参加希望者が多数となった。 冒頭、中野壮陛医療機器センター専務理事は、「このプログラムの目的は優れた医療機器・医療技術を企業に開発していただき、患者さんのもとにできるだけ早く届けることにあります。 企業の皆様には医薬品医療機器等法の規制をよくご理解の上、質の高い申請書を作成していただく。 そして、PMDA側との共通理解のもとで審査を迅速化する。それに貢献できればと考えています。ただし、 講習を受けただけではすぐに申請書の質を上げることができませんので、 今回の内容を持ち帰り、会社内で活用していただければと思います」と挨拶した。
平成平成27年1月30日、港区の三田共用会議所講堂において「第1回全国医療機器開発会議」が行われた。この会議は平成26年10月に立ち上げられた医療機器開発支援ネットワークの活動の一環で、医療機器メーカーと新たに参入を目指す企業、全国各地の地域支援機関の連携や情報共有を目的としている。内容としては医療機器開発に関する成功事例や各省・機関の施策を紹介するものであった。 1つ目に紹介されたのは伴走コンサルの成功事例で、株式会社シンテックの「高い骨癒合環境を実現する体内ケーブルシステムの開発」である。 従来の骨折用の固定用ケーブルは、治療の進行とともにあらわれる骨の変化に対応できず骨折部位の密着性に問題があり、それを解決するというもの。 この件に関しては「知的財産」の確保が課題となっていた。上場企業や医療機器メーカーとの共同開発となると薬事承認取得を名目に情報開示が求められ、 技術的なノウハウが流出する可能性大というのが懸念材料であった。伴走コンサルの指摘は、第一種医療機器製造販売業とISO13485の取得、販売体制の検討であった。 さらにターゲットの拡大や薬事申請についても検討され、これらが早期に実現された。 2つ目は大田区医工連携支援センターによる事例である。大田区は平成20年から医工連携事業に取り組んでいる。 東邦大学との医工連携の推進、東京労災病院との医工連携支援センターの設置、と活発に活動してきた。文京区とは医療関連産業における協力関係を構築。 医工連携支援の事例として「低摩擦、高硬度、低摩耗、優れた生体親和性を持つ炭素膜の開発」、 「切断性能の高い医療用鋸線」、「3Dプリンタの医療用への応用」、「大動脈弁手術用の計測器具」などが紹介された。 3つ目は神戸の医療機器等事業化促進プラットフォームのサポート事例「抗がん剤を取り扱う医療従事者の被ばくを防ぐ輸液ラインの開発」が紹介された。 これは株式会社コバヤシと神戸医療産業都市・中核病院との共同研究によるもので、抗がん剤治療で輸液管理する看護師をその被ばくから守るために考案された。 開発するうえにおいては、「安全な輸液ラインは可能か」、「安全な投与時間管理は可能か」、「抗がん剤投与中の患者が安全に移動することは可能か」という3つのポイントを設定している。
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