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理事長メッセージ

昨今の激動の世相に想う3つの「ショック」
― 「老いるショック」「負うショック」「医療財政ショック」 ―

いるショック>

 以前から、石油価格高騰時などに使われた「オイル・ショック」を捩って、昨今のTVコマーシャルで「老いるショック」なる表現を垣間みることがあります。まさに「少子高齢化」から人手不足に一層悩んでいく日本の産業界にとっての至言ともいえましょうが、医療関連分野にあっても、早急に対応を迫られている課題でもあります。「65歳の崖を超える(日経ビジネス誌・6月10日)」なる特集からも多くを学べます。文中、「65歳以上の就業者数が過去最多を更新。912万人となり全体の13.6%を占める。その様な中、企業はシニア従業員の活用に乗り出したが多くの場合、60歳と65歳時点、又はその両方で大幅に賃金を下げている、云々」とあります。「リスキリング」の問題も含め、雇用される側にも課題はありましょうが、早急に解決に向けての第一歩を踏み出したいものです。

うショック>

 自動車メーカーの「型式指定」をめぐる認証不正問題で国交省がトヨタ本社に立ち入り検査に入った旨の記事が6月初頭、多くの全国紙一面に掲載されました。しかし一方で医療機器業界でも数ヶ所の医療機関と製販業者の間で不正行為が報じられ、「規約違反になる、ならぬ」は別として恥ずべきことであります。規模の大小により、当然、社長など幹部の指示による「組織ぐるみ」の犯罪ではないにせよ、当該企業が負うべき責任・社会に与えるイメージも決して小さくはありません。

<医療財政ショック>

 先頃、大阪府・高槻で開催された「第16回・日本医療経営学会・夏季セミナー」に参加し、大いに勉強になりました。グランド・タイトルは「アフターコロナにおける共同購入と物流を考える」のもと、アメリカの医療機関の共同購入(GPO)は100年の歴史があり、医療機関の98%が何らかのGPOを利活用している。それに対して、日本では医療保険制度の違いがあるにせよ、何故に利用されてこなかったのか?しかし、もう待ってはいられない!-といった趣旨のもと、活発な討論が繰り広げられました。かてて加えて「『混合診療』対象拡大へ(朝日朝刊・5月22日)」なる大見出しを目にすると、医療機器製販業界も、うかうかしてはいられません。


―以上―

一般社団法人 日本医療機器工業会

理事長 松本 謙一