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日医工ジャーナル ダイジェスト

Vol.39 No.386 2013.7-9 ダイジェスト

座談会円借款が実施される東欧モルドバの実情と可能性

【矢野】 今回のモルドバ共和国の訪問は、日本医療機器工業会の国際政策委員会とOMETA(海外医療機器技術協力会)の業務委員で構成された代表メンバーにより行いました。
 モルドバへの円借款は、日本製の医療機材に対する同国政府の評価が高いことから、本邦技術活用条件すなわちSTEP制度の適用事業として実施されます。STEP制度は新興国への技術移転を通じて、日本の優れた技術やノウハウをアピールするために2003年から始められたもので、契約額の30%以上は日本原産の資機材を調達することが条件となっています。
 訪問日程を9月にしたのは、ちょうどこの時期にモルドバの保健省が主催する医療機器展示会が行われていたからです。医療機器はもちろん、製薬や歯科なども参加している展示会で、74社が出展していました。病院は保健省のアレンジで、国立救急医療科学センター、国立母子科学医療センター、国立共和国病院を視察しました。詳細は後でご説明します。
一日本人にとってモルドバという国はとても縁遠い国です。どのような国なのか概略を話していただけますか。
【古賀】 モルドバ共和国は、ソ連崩壊後に15に分かれた国の1つです。バルト3国を除く12カ国はCIS(独立国家共同体)諸国と呼ばれ、ゆるやかな国家連合体となっています。
 ソ連時代、各国は工業製品などにおいて独自に生産しないような政策を取っていたため、現在でも製造業は遅れている状況です。例えば、自動車ひとつ取っても各部品はウクライナ、グルジア、ベラルーシなどで製造され、組立はまた別の国で行うといった具合で、工業生産を一貫して行っている国はありませんでした。工業生産のベーシックな部分はまったくできていないといっていいでしょう。モルドバは地下資源が乏しく工業製品もない国なので、国内はほとんど農業主体で経済活動が行われていると思います。
(略)
【矢野】 今回の円借款は、政府が打ち出している医療機器の海外展開に沿った形で動いていると思います。外務省としてはODA案件がツールとなるわけですが、これには無償案件と有償案件があり、日本は医療機器で30年以上無償案件を多く取り扱ってきました。しかし、新興国においては貧富の差が大きく、GNPの平均から判断すると無償案件の審査に通らないケースが出てきます。そこで考えられたのが有償案件となる円借款です。対象国はモルドバの他に数カ国予定されていますが、日本製品に対する信頼度や国の規模などから考えて、最も取り組みや
すかったのがモルドバではなかったのでしょうか。モルドバに取り組んで、日本としても医療機器の海外展開の成功事例を作りたいところだと思います。

セミナー第47回 人工呼吸の安全セミナーが郡山市にて開催

日本医療機器工業会は10月5日、福島県郡山市のビッグパレット福島にて第47回人工呼吸の安全セミナーを開催した。今回は4人の講師を迎え、集中治療、臨床工学、看護、麻酔とそれぞれの立場においてテーマを選んでいただき講演を行った。参加人数は約120名、約7割は福島県内の病院に勤務する看護師、臨床工学技士の方々であった。
 会場で配布したアンケートによると今回のセミナーは概ね好評で、「理解しやすい講義だった 」、「基礎知識を確認することができた」、「基礎から現在の流れまで知ることができた」などの回答が多かった。その一方で「聞き取りにくかった」、「質問する時間が欲しい」といった意見もあり、今後の講演方法について課題も残った。
 現場において何に困っているか、という質問に対しては、「用語の統一」、「アラーム対応」、「ME不在時の対応」、「作動・点検チェックリストの適正」、「バッテリーやセンサーの故障」と多岐にわたり、人工呼吸器の操作については現在においても多くの問題を残していることが浮き彫りとなった。
 ワークショップについてはあまり評価が得られず、「良くない」が66%と半数以上にのぼった。ワークショップはメーカーの展示ブースで行われたが、説明に当たったのがほとんどメーカーの社員であったため、現場に即した解決策がうまく伝達できなかった可能性が高い。今後は、臨床現場での操作に熟知した人間が、何らかの形でワークショップに参加することが必要となるであろう。

イベント厚生労働省「子ども見学デー」に参加
「ひとのいのちをたすける”きぐ””きかい”」に出店未来の医療機器人にアプローチ

展示された医療機器は8種類で、内視鏡トレーニングモデル、超音波診断装置、自動体外式除細動器(AED)、骨接合用プレート、ステント、コンタクトレンズ、耳鼻咽喉科用機器などであった。当工業会からは、子どもたちに親しみやすいように、プールなどで泳ぎ中耳炎が増える時期ということをふまえ、耳鼻咽喉科用機器を用意し出展した。このプログラムの目的は、医療現場で実際に診断・治療に用いている機器を手にとって操作してもらい、子どもたちに最先端の優れた医療技術をリアルに体験させることである。実際に、外科用器具の展示では、外科医が手術時にかぶる帽子を用意して気分を盛り上げたり、他の展示においても子ども一人ひとりに担当者がついて丁寧に使用方法を教えていた。
 参加していた子どもたちは小学校低学年が多かった。現場はかなりの人気で、医療機器のブースでは子どもたちとその親で、常に30人ほどの人であふれていた。座学ではなく実際に機器に触れられることは、子どもたちの興味を引くという点で大きな利点があり、事実、他のプログラムに比べても盛況であった。当工業会の展示でも、1日あたり約100名の子どもが体験に訪れた。かなりの集客であったといえよう。